会社組織では「ほうれんそう」,
つまり「報告」・「連絡」・「相談」が大事だと言われます。

弁護士と依頼者の関係は,会社における上司と部下とか,同僚といった関係ではないものの,報告はやはり大切です。

弁護士と依頼者の間の契約は「委任契約」です。

民法上,「委任契約」では,
【「受任者は,委任者の請求があるときは,いつでも委任事務の処理の状況を報告」すること】
となっており,この条文に従えば,受任者は求められたときに報告すればよいことになります。

一方で,委任契約においては,「受任者は,委任の本旨に従い,善良な管理者の注意をもって,委任事務を処理する義務を負う」とされています。この義務を善管注意義務といいます。そして,弁護士の場合は,善管注意義務の一環として,求められなくても適宜報告する必要があると考えられます。

また,特に事件処理の方針のように,単に説明しただけでは依頼者が適切に判断できない事項については,判断が可能となる程度に説明をする必要があります。

日弁連の弁護士職務基本規程にも,

「弁護士は,事件を受任するに当たり,依頼者から得た情報に基づき,事件の見通し,処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について,適切な説明をしなければならない

「弁護士は,必要に応じ,依頼者に対して,事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し,依頼者と協議しながら事件の処理を進めなければならない」

といった,報告義務・説明義務を定める規定があります。

また,説明義務違反を理由に,弁護士に損害賠償を命じた裁判例もあります。

弁護士はプロフェッショナルですので,その受任事務遂行上,ある程度お任せいただく部分というのもあります。しかし,権利義務の主体はあくまで依頼者です。そのため,利益・不利益が最終的に依頼者に帰属することを考えれば,経過を報告し,必要な都度説明をすることは必要です。

さらに,一歩進んで言うと,説明や報告は口頭では分かりにくいことが多いため,なるべく文書で伝えるようにすべきであると思います。