2つの最高裁判決 -夫婦同姓と再婚禁止期間についての判決-

平成27年12月16日,最高裁は,民法の夫婦同姓と再婚禁止期間に関する規定の憲法適合性について判決を下しました。

夫婦同姓については,合憲と判断されましたが,今後,選択的夫婦別姓を導入すべきかどうかについて,国会にボールが投げられている恰好です。

他方,再婚禁止期間の方は,違憲と判断されました。

この再婚禁止期間について,少し考えてみたいと思います。

離婚後100日を超えれば再婚できる

まず,この最高裁判決が出た結果,女性は離婚後100日経てば再婚できるようになりました。

現行民法は,女性に対して離婚後6か月間の再婚を禁止していますが,後述する最高裁判決を受けて,再婚禁止期間を6か月から100日に変更する法改正が予定されています。

しかし,離婚後100日を超えれば婚姻届を受理するようにとの法務大臣の通達が出たので,法改正が行われる前の現在であっても,離婚後100日経てば再婚できるようになりました。

100日間だけ合憲か。それとも全面違憲か。 -父性の重複vsDNA技術-

女性に対して離婚後6か月間の再婚を禁止する現行民法の規定が違憲であるとの結論は,最高裁の全裁判官で一致しています。

もっとも,最高裁の多数意見は,このうち100日間を超える部分は憲法に違反する(逆に,100日間に限っては憲法に違反しない)と判断しています。

これに対して,期間を問わず,再婚禁止は全面的に違憲であるとの少数意見もありました。

多数意見「100日を超える部分は憲法に違反」の根拠

多数意見の根拠は,父性の推定の重複回避です。民法上,「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定」される一方で,「再婚後200日経過した後に生まれた子は後夫の子と推定」されます。

そのため,離婚して100日経つ前に再婚できるとすれば,例えば,母が離婚後50日で再婚し,その後250日(離婚後300日)に生まれた子は,「離婚後300日以内に生まれた子」であり,かつ「再婚後200日経過した後に生まれた子」でもあるので,父と推定される人物が二人(前夫と後夫)いて,父が誰であるか決まらなくなってしまいます。逆に,再婚を100日間禁止すれば,このような事態は防げます。

したがって,多数意見は100日間に限って再婚禁止は合憲と判断したのです。

少数意見「100日部分を含め全面違憲」の根拠

これに対して,100日部分を含め全面違憲との少数意見は,父性が重複しても,父を定める訴えにより不都合を回避できることを理由に掲げています。

このような見解に対しては,子にとって,訴訟の負担や,訴訟提起して判決をもらわない限り法律上の父が定まらない不利益が生じることが懸念されますが,少数意見は,DNA技術などにより訴訟は困難でなくなっているし,父が定まるまでの間も行政サービスを受けられるなど,不利益は大きくない旨指摘しています。

再婚禁止規定の改正案 -妊娠していない場合は即再婚可-

多数意見には,100日間は合憲としつつも,父性の推定の重複を回避する必要がない場合には再婚禁止規定の適用は除外され得るとの補足意見が付されています。たとえば,離婚時に妊娠していない場合は,医師の証明書などの証明手段を設けることによって,離婚後100日以内の再婚届を受け付けてよいだろうと指摘しています。

報道によれば,政府も補足意見に沿った民法改正案を準備しているそうです。

改正案への評価 -私は賛成-

このような改正案に対しても,賛否両論あると思います。

個人的には,改正案によれば,大多数の女性は離婚後直ちに再婚できますし,直ちに再婚できない一部の女性にとっても,ある意味,生まれてくる子のための,100日に限っての禁止ですので,必要最小限の制約として許容してよいように思います。