某タレント弁護士の懲戒

某タレント弁護士が,所属弁護士会から8月2日付けで業務停止1か月の懲戒処分を受けたと報道されました。

法テラスの利用と着手金

法テラスは,資産・収入が一定額以下の方のために,弁護士費用の立替事業(代理援助制度)を行っています。

この制度は,利用者にとって,

  1. 着手金は法テラスが弁護士に一旦全額立替払いしてくれ,自分は法テラスに毎月少しずつ償還していけばよい
  2. 弁護士費用の総額も,通常の弁護士の報酬基準より低く設定されている

という2つのメリットがあります。

このメリットを担保するため,法テラスの契約している弁護士は,法テラス利用案件については,法テラスが決定した金額以上の弁護士費用を受け取ってはいけないことになっています。

某弁護士の懲戒事由

某タレント弁護士は,法テラスから着手金と実費12万5000円の立替払いを受けたにもかかわらず,上記契約に反し,依頼者本人からも約18万円を受け取った(そして,依頼者や法テラスから返すように言われても返さなかった)そうです。

これは,お医者さんで言えば,保険診療で患者に自己負担分を超える金額を払わせるようなものです。某弁護士は,法テラスの制度についての理解不足からしてしまったようですが,弁護士として言い訳のできない「非行」に当たると言わざるを得ないと思います。

業務停止は重い?

ところで,弁護士の懲戒処分には,1)戒告,2)2年以内の業務の停止,3)退会命令,4)除名,の4種があります。

退会命令や除名が重いのはもちろんですが,業務停止も重い処分です。業務停止期間中,顧問契約なども解除しないといけませんし,事務所の表札・看板なども撤去しないといけません。個別事件の委任契約も解除して裁判所等に辞任の手続をしなければいけません(業務停止期間が1か月以下で,依頼者が委任契約の継続を求める場合は継続できますが,少なくとも依頼者に業務停止を受けたことを明らかにしなければいけません)。

弁護士会からお叱りを受けるにとどまる戒告と,業務停止とで,処分の重さに格段の隔たりがあると言えます。

報道によれば,某弁護士は,弁護士会役員に言われて依頼者に費用の全額を返したそうです。実際に懲戒手続に関わっていない立場で軽々に言えませんが,仮に非行がこの1件だけであるならば,業務停止は少し重いような印象を覚えます。