なぜ放っておいたのか

急患で運ばれてきた患者の家族に,医師が問い詰める。

「なぜこんなになるまで放っておいたんですか?」

消費税増税の延期が決まったとき,某新聞が,
「ドラマでよく見るこんなシーンを思い出した。同じようなことにならなければよいが。」
と書いていました。

 放っておいたら,時効になりました

弁護士にも,
「なぜこんなになるまで放っておいたんですか?」
と言いたくなるときがあります。

典型的なのは時効です。

貸したお金残業代売掛金遺留分損害賠償・・・みな時効があります

時効前なら打つ手が色々あっても,時効が完成してしまうと,お手上げです。

 過払い金の時効

最近は,消費者金融などの貸金業者に対する過払い金の時効によく接します。

過払い金の時効は,完済などの取引終了の日から10年です。

「あと3か月早く相談されていたら・・・」などと思うケースが少なくありません。

過払い金には,通常,年5%の利息が付きます。したがって,取引終了から10年ぎりぎりであれば,利息は元金の50%にのぼります。100万円の過払い金であれば,利息を加えると150万円になるわけです。

ところが,10年を1日でも超えてしまうと,貸金業者に時効を援用され,過払い金は膨れた利息とともに0円となってしまいます。

借入金の時効

なお,過払い金と逆の話で,貸金業者に対しては,借入金について時効を援用できる場合があります。

貸金業者に対する借入金債務は,返済を怠ってから5年で時効にかかります。

道義的にお勧めすることはできませんが,延滞後,居所が不明になる,音信普通となる,などした債務者について,この5年の時効期間を過ぎているケースがよく見受けられます。

「時効にかかっていても最後まで返す」というのも自由ですが,時効を援用(支払いを拒絶)するのも,その人の権利ですので,間違ったことではありません。

「なぜ放っておいたんだろう」になる前に相談を

過払い金にしても,借入金にしても,その存在及び額,そして時効にかかっているか否かは,貸金業者から取引履歴を取り寄せ,きちんと確認,計算する必要があります。

弁護士等の専門家への早めの相談をお勧めします。