災害弔慰金の額 500万円,それとも250万円?

災害で亡くなった方の遺族には,市町村から災害弔慰金が支給されます(費用は国,都道府県,市町村で分担します)。

弔慰金の額は,亡くなった方が災害弔慰金を受け取る遺族の「生計を主として維持していた場合」500万円その他の場合は250万円と定められています。

遺族の年収による振り分け

500万円支給される場合,すなわち死亡者が遺族の「生計を主として維持していた場合」については,昭和50年の旧厚生省の通達があり,「遺族の恒常的な収入が,控除対象配偶者に係る所得制限を受ける程度以下」とされてきました。

そのため,これまでは遺族に年収103万円を超える収入があると,災害弔慰金の額は500万円ではなく250万円にされてきました。

熊本地震以降の新基準

政府は,平成28年6月1日付けの内閣府の通達により,この基準を見直しました

新たな基準では,「生計を主として維持していた場合」に当たるか否かは,「世帯の生活実態等を考慮し,収入額の比較を行うなどにより市町村において状況を確認し」て判断することとされました。

つまり,たとえ遺族に103万円を超える収入があったとしても,生活実態や収入比較から,死亡者が遺族の生計を主として維持していたと認められるのであれば,災害弔慰金は一律500万円支給されるようになったのです。

この新基準は,4月に起きた熊本地震から適用されます。

「増額」による懸念

一家の大黒柱を失った遺族にとって,災害弔慰金が500万円支給される方向での運用がなされることは,朗報だと思います。

もっとも,弔慰金とは,哀悼の意を表するための「気持ち」というのが本来の意味のはずです。しかし,災害弔慰金に関しては,500万円にしろ,250万円にしろ,「気持ち」で済まないくらいの額になっていると言えます。金額が大きくなると,残念ながら,それを巡る紛争が起きるという面も否定できません。今回の基準見直しによる実質「増額」が,遺族間の紛争を助長しないか,いささか心配でもあります。